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日記だよ

浦島感覚

家の売却手続きのために関東へやってきた。朝10時とかに金融機関に行くので新幹線では無理で、前泊もなんか面倒だったので、高速バスを使ってみたが、二度と使いたくないという感想になった。腰が痛いし眠れないし辛すぎる。 若い頃はこれで日帰りで東京まで往復していたのだ。すごい。

若い頃に乗ったことのある高速バスより進化していて、コロナ対策のためなんだろうけど仕切りカーテンがしっかりついていて左右の人間のモゾモゾとする動きが目の端にチラチラせず便利だ。座席にはUSB端子があり充電器を差せる。ただし、試しにiPhoneのケーブルを突っ込んでみたがうまく充電できなかった。飾りかよ。

大宮駅は大きな駅だが流石に6時だとカフェなどはやってないので、新幹線の場内に140円で侵入し、二時間ばかり本を読んでいた。気がつくと通勤、通学の時間帯になっていて、待合室は席が埋まり、JRの構内は学生服姿の子達やスーツ姿の人で溢れていた。すごい人で、秋田に引っ越してから二ヶ月間ですれ違ったよりも多くの人間を一度に見ている。新卒の頃は大宮駅で湘南新宿ラインに乗り換えていたので、二十年近く前の自分がこの中にいるのだ、という気分になる。当時はスーツ着てネクタイ締めてたしな。

ふだん、世間はコロナで自粛で静かに特効薬の開発を待ってなるべく外出する用事を減らして家庭で過ごしている、みたいなイメージを持ってるけど、実際は割と学校や仕事や遊びを再開している。 電車はぎゅうぎゅう、マスクはしているが友達同士が島を作って談笑している。

電車の窓からはどこまで行っても集合住宅やコンクリートの四角い店舗、それに密集した住宅が流れていって尽きることがない。巨大で肥沃な関東平野は日本で一番税金が投入され、日本全国から若者を呼び込み栄えている。お前ら東京を発展させたら地方にも波及するとか言ってたけどそれはいつなんだよ。騙されるほうが悪い。まあそうなんだろう。素朴に年金があるから老後は安心と信じて、のんびり生きているうちに、気がつくと年金では足りないのでお金を貯めてねと言われている。

この先、日本がどんどん国力を弱めても、最後まで東京は活気を保つだろう。そんな感慨がある。秋田は割と早い時期に滅びそうだ。なんとかしなければ、なんて使命感は全くない。でもそういうことに取り組んだほうが人生楽しそうではある。少なくともそういうポーズをとってれば補助金とかが公費から出て、食っていけるのかもしれない。地元の未来を守るのだというポーズをとって、現役世代がギリギリ生き残れる資金を得る。未来は来ない。

浦島太郎は、自分の体が歳をとったのだという感覚はあったのだろうか。老人になってしまった、というのは、歳を経たのとは違うもんな。突然周囲と切り離された隔絶を感じていて、その距離感に形が与えられただけなんじゃないか。

もうすっかり尻が痛くなってしまったので流石に帰りは新幹線にすることにしました。