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日記だよ

恋心を知る前に恋愛という概念を知る

突然なんだ、という話なんだけど、小説とか漫画とか読んでいて、モチーフに恋愛という要素はよく出てくるわけだよね。学生時代などを思い返してみると、誰かに対して恋愛感情や、もっと土台となる、他人に対する好意のようなものを獲得する遥か前に、恋情、慕情、友情、劣情といった様々な人の心の様相や、それが社会化され、事件を生み出し、生きがいや、または落とし穴となっていくのかというのを学習している。さまざまな物語としてそれは自動的に得られる。まあ自分が本を読むのが好きだったからかもしれないけど。

形式としての男女の恋愛とかは知識として理解していて、最初は形式から入ることができず呆然と生きていた。やがてそれに自分を当てはめて、それらしく行動しようとする。みんな幸せそうなので自分もその幸せを獲得したい、って子供のような憧れはあった。ただそれは、「はじめてのおつかい」と何が違ったんだろう。

自分の中から生まれる愛情や恋心のようなものに出会う前に、社会化された知識や動機としてのそのようなものが頭の中にすでにある。すでに手に入れた他人のそれを押しのけて、自分の、自分だけのそうした感情を獲得するというのは、どういうプロセスなんだろうな。またそれは言葉などで他人に伝達できるものなんだろうか。今自分は自分の心で考えられているのか。

などと、本棚を整理しているときに出てきた村山由佳の小説を眺めていて思ったのであった。高校時代に読んだもんだからなぁこれ。