読み終わった!これは大作すぎる。
ここ一ヶ月くらい、通販で手に入れようとしてプレミア価格に阻まれていたが、なんとか入手できたので読んでいたのである。最近、なんかのメディアで絶版書籍が言及されるとシュッと古本の値段が上がり、しばらくするとまた下がるという動きがあるらしい。悪質転売業者絶許。
で、本書だけど、同名の著者不明の書籍の邦訳というていで描かれている、そのこと自体がトリックみたいになってる。作者も物語の構造の一部分ですよ、というわけだけど、その全貌が見えてくる頃には作中のダンジョン攻略とか王の息子と王女の物語とか魔神に魅入られたおっさんの話が佳境を迎えていてそれどころではないし、作中において物語の中の現在時制であるナポレオンが侵攻中のエジプトも緊張状態で、いったい何がどうなるんだと混乱に近い感じになってくる。
ファンタジー小説好きには是非おすすめしたい感じがするけど、癖はあるよな。濡れ場みたいな状況が笑うところになってるのが独特のテンポだと思う。いや、小説で、下品な下ネタみたいなやつで吹き出してしまうことなんてなかなかないけど、これは一流です。たまにインターネットで定期的に引用される「童貞の機関車」とか好きなら、ニヤリとすることはあるだろう。
本書の背景情報はぜんぜん知らなかったけど、ウィザードリィの小説の系譜でもあるらしい。そう言われるとなるほどなぁと思うよね。狂った王様とか、ダンジョンを封印しちゃう古の魔術師とかさ。
ともあれ、読み終えた。
ここしばらく、仕事を終えて、家事をして、寝るまでの間これ読んでたリズムになっていて、けっこう仕事にも影響が出ていた気がする。読み終わってしまって、残念な気持ちもあるにはあるが、勤め先は六月〜七月が忙しくなるし、六月にはエルデンリングのDLCがあるし、今年の夏はAIプロダクトがどーんと普及に入って先のことが全然読めないながらわくわくする感じになっていて、一つ大きな積みタスクを終えられたのはよいことである。