読み終わった。物語の後半、そうか、これは確かに押井守っぽい、ってめちゃくちゃ思った。ジブリがアニメ化したらまた絶対違うものになっただろう。
揺るる火出てきてから、トリプルヒロイン形式(煌四くんの存在感が弱いので)で進むわけだけど、灯子があまりにも主体的でないのがすごい。いや、物語的にもそれが重要なのはわかる。けどあらゆるシーンで周囲の人に質問を投げかけまくり、いうことを聞かず、けど突然鎌持って活躍したりする豹変具合はほとんどトリックスター並みだと思う。とにかく感情に押されて走ってるのだけどその感情がわかりやすくないんだよな。いろんな人のいろんな姿が、灯子の目線のシーンではずっとフラッシュバックするけど、一つの大きな信念や決断に全てが合流するカタルシスはない。(むしろそれは揺るる火の役目って気はする)
文章には独特のリズムがあり、その正体を考えるに、「動けなくなった」とか「無視した」「届かなかった」「振り返らなかった」などの、ある行動を抑止するものとか、不在の示唆がすごくいろんな地の文で使われるあたりなのかなーと思って読んでいた。発話が誰のものかちょっとわかりづらいところがある。一つの段落が一つの漫画のコマみたいなつくりになってる?と途中で思うようになって、そこからスムーズに読めるようになった。
しかし、結局「千年彗星の核の火」ってなんだったんだ。それがどうも気になっている。外伝読むとわかる?