見た。黒澤明の映画です。若い頃見たことあるんだけど、その頃は字幕がなかった(ビデオテープでな。。)
今回はDVDで字幕付きです。字幕があるとすごいんですよ。なんと主なセリフがだいたいわかる。特に、かつては序盤の早口の女の人の喋りはぜんっぜん聞き取れなかった。不思議なことに、画面下部に出てくる字幕を一瞬チラリとするだけで、一塊になった音の重なりのような声がちゃんと人の声に聞こえる。ワンダフル。
で、見終わったのですが、これは凄い映画です。人情劇だし、悲喜劇という感じでもあり、社会派っぽさもあるけど、なんかそういうジャンル付の外側にある。
30年間、ミイラとして市役所でハンコ押してた渡辺さん、息子さんとの断絶や居酒屋で知り合った変な小説家との遊び歩きとかを経て、私には息子がいないと首を振る諦念と、「君は、活力がある。どうすれば、どうしてそんな活力が」と元部下の女の子に詰め寄る渇望が、市役所の元の席で果たして何ができるのかとたち戻らせるその迫力だよな。そして後半、酔っ払いたちのどんどん酔っていく感じとか、市民から変わったのか変わらなかったのかとか、渡辺さんのこぼれ落ちそうな目玉に宿る光とか。印象深すぎる。
それもこれも、字幕のおかげで内容や映像が読み取れるのである。つまり、字幕で見るんだ。
あと、中身関係ないけど、公園の子供達の密度とか、いや密度でいったらカフェや繁華街、ダンスホールでの人々の異様な密度感は映画であることを差し引いても、現代日本との距離を感じる。生命力ちゅーかよ?