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日記だよ

映画「八甲田山」

見ました。秋田に引っ越してきたのでこの映画は外せない!!!ということで。

白い地獄の物語

まごうことなき傑作なのだけど、TVではなくスクリーンの大画面で真冬に見ていると、見ている方も寒くなる。

大館の出なので八甲田山はわりと身近な存在です。そして「八甲田雪中行軍遭難事件」と「岩木山大館鳳鳴高山岳部遭難」は子供の頃にみんな教えられる出来事でもある。自分が鳳鳴高校出身者でもあるので、という都合もある。これは余談。

劇中に何度か雪に閉ざされた村が出てくる。雪原に三角の屋根だけが見えているみたいな感じになっていて、この五十年で日本はかなり雪が降らなくなっているんだなあ、と思った。考えてみれば、自分が子供の頃の教科書(35年くらい前だ)では「東北や新潟の豪雪地帯では冬は玄関が埋まるので2階から出入りします」って書いてたんだもんな。

この映画、初見ではないのだけど、子供の頃とは全く見え方が違っている。まず、組織が見えるようになっている。メンツにこだわるおっさんが「向こうがこうなら、こっちはこうだ!」と計画にチャチャを入れるのが序盤にあるわけだが、後半どんどん状況が悪化していく中で、それがチラチラと思い出されてイライラするんだよな。お前、お前このバカヤロウめと。これが共感というやつです。オブザーバーだったはずの「偉い人」が指揮命令系統無視して横槍入れてくる時の、神田大尉の難しい顔がこれでもかと胸に迫る。つらい、つらいぜ。こんな中間管理職は嫌すぎる。

もののわかってない「偉い人」がちゃんとものがわかっている現場を台無しにしていくという構図はしんどいステレオタイプなんだよな。

(非道な上官とかそのあたりは映画/小説での脚色がさすがに入っているらしい)

あと、そもそも背景となっているのはロシアが攻めてきて津軽海峡から上陸し、海から砲撃ガンガンされて海沿いの道路とか鉄道が破壊されたとき、どのようにして奪回に至る進軍ルートがあるのか、それを確立せねばならぬ、という世界観であって、そういう大人のモチベーションって子供の頃見た際にはまったく記憶に残っていなかった。いろいろある。

内容以外の話

妻から「クリスマスなので、八甲田山を見るべきである。せっかくなので、暖房を消して窓を開け、遭難した人の気持ちがリアルにわかるような体験をするのはどうだろう」と提案を受けたのだが、「チキンが冷めてしまう」「フライドポテトも冷えるとおいしくない」と粘り強く説得して、リアル体験コースは勘弁してもらった。

買ったBDは4Kリマスターしたやつを2Kダウンコンバートしたやつ。せっかくならULTRA HD版があるとよかったんだけど、まあ元の映像ソースが古いものなので気にすることでもないだろうと思う。