見た。圧倒された。
いうまでもなくベトナム戦争を描いた大傑作である、といいつつ最後まで見たことなかった。
ベトナム戦争を舞台にした戦争映画は本当にいっぱいあるけど、インテリ主人公が正義感と愛国心で志願して地獄を見ることに...みたいなありがちな筋書きからは読み取れないジメジメした空気感と、現場のどうにもままならなさ、言葉の通じない現地の人間たちの薄気味悪さが凄まじい。
パッケージのシーン、膝をついて天を仰ぐ兵隊はまあまあいいやつのエリアス曹長で、彼と意地の悪い古参兵のバーンズ曹長の反目がドラマの軸なんだけど、主人公のテイラーくんがどんどん目つきが悪くなっていくのも見どころだと思う。これはフルメタルジャケットのローレンスくんが前半で退場する間際に凶悪な面相に進化したみたいな、そういうヤバさがある。そういえば冒頭の入隊時のシーン、血色がいいテイラーくんに対して入れ違いになる帰還兵がめちゃくちゃやつれていてギョロリとした目つきをしていたのも、そういう構図なのだろうな。