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日記だよ

映画「白いリボン」

見た。面白かった!

北ドイツの田舎の、男爵、牧師、家令、医者が名士として君臨する町を舞台にした不穏な映画だった。

冒頭で自転車に乗って帰ってきたドクターが貼られた針金に気づかずに転倒し大怪我を追う、というところからスタートして、その犯人探しをやっていくのかなと思ったらそうでもなく収穫時期に怪我したおばちゃんが事故にあったり、それが男爵とかの監督責任があるんじゃねーかと早合点した息子が畑を荒らしたり、その流れを受けて男爵の息子が暴行を受けたり、町に疑心暗鬼と不安が蔓延してくる。時代は第一次大戦直前くらいでこれはもうきな臭さがすごい。

加害性が基本的にずっと一方向なのが見ていてスッキリしないからなのかもしれない。加害者は被害者からの報復や反撃を受けることがない。抑圧者の立場は変わらない、構図はひっくり返らない。ただし、他者への抑圧や加害はじわりと全体的によくない変化を引き起こす。それが再生産されていくんだろうな、ずっと昔から続いてきたんだろうな、と思わせる閉塞感がある。あった。

シーラッハ先生がミヒャエル・ハネケ監督は別格っすよ!と珈琲と煙草で書いていたので前情報抜きで見てみたんだけど想像以上の強力さでびっくりした。

良作ですが見るのにパワーが必要。あと白黒で肌や髪の色などの区別もつきづらく字幕だと喋り方もあまり材料にならないため人物の見分けや人間関係を読み取れるようになるまでだいぶ時間がかかった。これも集中力を要するポイントで、のんびりと後傾姿勢で見る感じではない。