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日記だよ

目的・課題・原因

この記事は思考の整理のためのメモです。図は draw.io で適当に書いたものをスクショしました。

会社とかでよく「課題を洗い出すぞ」「改善しよう」みたいなブレストすることがあるわけなんですが、そのとき考える前提となる目的感はや課題感って暗黙のうちに共有されていることが多いです。みんなわかってるでしょ、というところから始める。でも、わーっといろいろ意見を出した後にまとめる段階になって、目的の存在があんまりはっきりしてないな、と思うことがあります。

ここでいう目的・課題・原因は以下のような構造にマッピングされるやつです。

目的、課題、原因の図
目的、課題、原因

目的は最終目的(世界を元気にするとか、社会問題を解決するとか、大金持ちになってカリブに屋敷を買う)のでかい話ではなくて、「納期までにリリースする」とか「毎朝遅刻しない」とか「100万円溜める」とかいろいろあります。ある目的-課題-原因構造の中の原因に注目した時、その原因を解消することを目的としてさらに分割されることもあると思います。とにかく、「課題を考える」時には常にそのスコープにおける達成したい目的があるはずということが言いたい。原因はまあわかりやすいとして、課題はちょっと言葉は適当ではないかもしれません。まあこのままいくけど、要するに目的達成のために必要なマイルストーンであるとかクリアするべきポイントです。

この構造が整理されていないと、たとえば「なんとなく普段からやりづらさを感じる」みたいなことが課題としてあがったり、「会議が多い」みたいなのは出てくるのだけど、それによってどんな課題が発生し、どんな目的が達成できていないのかが有耶無耶のまま進むことになる。すると、「会議が多いなるほど。これはすぐに対処できそうだ。会議を減らしてみよう」ってなるかもしれないけど、その結果の課題や目的達成度合いが変わったかどうかのトラッキングがしづらいわけです。足元を改善している気分にはなるけど、目的に近づいているかどうかが謎。

ややこしいのは、ここでの目的が綺麗なピラミッド状に整理されるわけではないことです。

理想のピラミッドと実際のゴニョゴニョの図
理想のピラミッドと実際のゴニョゴニョ

よく「最終的には儲かればいいんだ」とか「全ての情報にインデックスがつく世界につながるかどうかで考える」とか「Go Boldかどうか、それが問題だ」みたいな単純化をする人がいて、まあそれができればいいんですが、実際には右側のような世界観に(当事者には)周りが見えているのではないかと思います。

足元の達成目標、来週のリリース計画、クラウドや利用しているライブラリのアップデート、費用削減、スキルアップや学習、モチベーション、会社のブランディング、負債の返済、月末に連休をとって旅行に行くための予定調整、子供の保育園に出す書類のでっちあげ、その他諸々の「目的」があって、それぞれ達成するために必要な過程も、そのために発生する課題も違うし、限られたリソースを奪い合うことになります。

そこで発生しているのはよくある正義の衝突というか目的の優先順位の話題です。育成よりリリースの方が大事なのでは!? openssl のセキュリティフィックス全台にかけるのとMySQLのバージョンアップどっちが大事なの!? ブランディングのために社員にブログ書けって言うけどその時間はとってくれないんでしょう?

大事になってくるのは目的を排他的にしないことだと思っています。目的を排他的にしない、というのは自分の言語化の仕方だけど、途中までの過程を共有できるようにするとかもあるし、いい感じに両方を達成し得る課題を見つけるということでもある。宮本さんの「アイディアとは〜」がずばりそれぽい。

宮本には「アイデアとは複数の問題を一気に解決するもの」という持論がある。この言葉は元々宮本自身が明確に口にしたものではなかったが、宮本の仕事ぶりを近くで見ていた岩田聡がそうした姿勢を感じ取り、言語化して事あるごとに紹介したため世間に広まることになった 宮本茂 - Wikipedia

社員に開発者ブログを書かせる、というのを単純に採用ブランティングの目的に位置付けると大変だけど、評価につなげる、社員の学習やモチベーションにつなげる、あるいは各人の個人的なブランティングに寄与するような仕掛けを仕込むなどすることで、複数の目的への一手にできれば面白い。と、ここにきて課題や原因を考える主従が逆転して、いろんな目的を同時達成する面白い課題がないかと思考が働いています。


時期的に振り返りをして次への作戦を練ることが増えているのですが、「会議が多い、減らせないか」「割り込みが多いので仕事が進まない」「負債が多いので返す時間を取りたいが取れない」みたいなのが課題としていっぱいあがってきて、「なんとか時間を作ろう。そのためにこれとこれを諦めて・・・」みたいな、排他的な目的を並べて優先順位をつけるとか、「Aさんに負担がよっているのはよくないので輪番にするのはどうか」といった、チームメンバー間にある不利益の分配みたいな場になるのは楽しくないんですよね。それはそれで必要ではあるのですが。なにか重要な機会を逸している気がする。

アイディアをみんなでうんうん考える場にしたいのですが、これがなかなか難しい。何が必要なんだろうか、ということを最近はよく考えています。