1923年、アイルランドの小さな孤島イニシェリン島。住民全員が顔見知りのこの島で暮らすパードリックは、長年の友人コルムから絶縁を言い渡されてしまう。理由もわからないまま、妹や風変わりな隣人の力を借りて事態を解決しようとするが、コルムは頑なに彼を拒絶。ついには、これ以上関わろうとするなら自分の指を切り落とすと宣言する。
改めて考えていたのだけど、この映画は常にコルムの行動（や妹の行動）について理解が及ばず振り回される主人公・退屈な男バードリックの目線で描かれる。途中でカメラは他の人物を追いはするものの、理解のできなさ、理解を拒絶する材料ばかりが提示される。しかし、コルムは（最後のあれを除けば）物事をしっかり捉えており、自分が思ったように進み、バードリックの苦悩までもを見通している。コルムの側から物語を描けば、きっともっとシンプルな話なんだろう、と思う。実際にそのような腑に落ちる背景が準備されているかは知らないが、とにかく音楽に目覚めてしまった男コルムの描写を見ていると、そう思えてくる。のでは?
というメモ書き。
