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日記だよ

伊坂幸太郎「フーガはユーガ」

読んだ。いつもの伊坂幸太郎だったし面白かった。兄弟ネタ好きだよね。

タイトル「ユーガはフーガ」だったっけ? それとも「フーガとユーガ」だったっけ? とわかんなくなりがちです。

誕生日に2時間置きに居場所が入れ替わってしまう不思議な双子の話。品質の高い、毎回異なる、読後感も近しい「いつもの話」を量産する点で伊坂幸太郎は本当にすごいと思う。サザンオールスターズみたいだ。

文体が軽妙で会話リズムもいつもの感じで、物語の展開はどう転んでもハッピーエンドになるでしょって感じの安心感あるやつから全てがシニカルに噛み合って最後はしんみりするものまで、バリエーションが広く見事だと思う。驚きは薄いけど転換点では「あーそうなるのかー」と思わされる。今回はややしんみりより。

なんかあまりにもピースの組み合わせ方がこなれているので、「結末は悲劇にします」「非喜劇*1にします」「どんでん返しにします」「叙述トリックにします」「主人公は兄弟にします」「親子の確執を入れます」「主人公はひねくれています」「主人公は根明です」みたいなカードを適当にめくって決めているんじゃないかとすら疑ってしまう。

*1:悲喜劇ではなく、非・喜劇で誤記のつもりではないんだけど読み直すとわかりづらい...