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日記だよ

アホウドリの迷信・赤いスーツケースを持った女の子

読み始めた。

「現代英語圏異色短編コレクション」と副題がついてる。異色ってほど異色なのかわくわくする。

 

いかにも手触りの良い本でもったいないので少しずつ読む。こういうことができるのが大人になったってことですよ。

昔は面白い本はあっという間に読み終えてしまい、次のつまらない本を読んでいた。つまらない本に耐えきれなかった時が眠る時だった。だから面白かった本の記憶しかはっきりと残ってない。

 

武漢の病気について少し触れられていて、これは現代の時代感なのだなとなった。鬱々としたヨハンの恋の話を、城に閉じ込められた英語を喋れない作家が語り、妻が翻訳して他の客たちに話す。という構図の不思議な光景が面白い。

 

「彼女があるバンドや映画を知らないと、ヨハンは苛立つようになった。破綻した国家から彼女が逃げ出そうとしていた最中、彼はぶらぶら過ごし文化を吸収しながら二十代前半の生きたのであり、自分にとって意味があるものを彼女が知らないのは苛々の種だった」

 

結末はなるほどハッピーエンド、となるのだけど、上の一節が本当に残酷でバカバカしい。物語を英語ではない言葉で語って話す作家がヨハンに批判的なのもわかるし、翻訳をしてくれるその妻がどうそのニュアンスをまるめているのかも気になる。そういう後味があります。