見た。面白かった。映像は美しく音楽は抑制的で、役者の演技も素敵だと思うが、見終わってたいへん辛い気持ちになれます。
イギリスの小説家カズオイシグロの同名作の映画化のはず。
『わたしを離さないで』（わたしをはなさないで、原題：Never Let Me Go）は、2005年発表のカズオ・イシグロによる長編小説で、同年のブッカー賞最終候補作。
日本の最近の漫画をよく読んでいたら約束のネバーランドの冒頭のイメージと重なりすぎてビビる。インターネットで調べてみたらパクリだなんだと盛り上がっていたようですね。なるほど。
まあどちらかがどちらかの影響は受けているのかもしれない。ただし物語のベクトルは本当に正反対で、「私を離さないで」の登場人物はその世界の常識と価値観に従って生きている。約ネバがどちらかというと、読者の目線に近い理不尽な世界への抵抗意識を持っており、「この世界はおかしい!」と声を大にして戦っていたのに対して、「わたしを離さないで」の登場人物はそうではなく、その世界の目線で気づき、考え、抵抗し、悲しみ、向き合っている。そういう意味では、わたしを離さないで、は伝統的な文脈でのファンタジーなのだなぁ、という見方をした。しばしば理解できない登場人物の行動があって、お前なんでそう思うのよ!?とビックリするんだけど、そのあと「そうか、この世界で、この人は、こう考えるのが当然なのや」と理解が追いつく、ということが見ていて何度もあった。
原作読んでないんだよな。ケン・リュウとカズオイシグロはなぜかちゃんと読んでないのだった。紙の動物園だけどっかにあった気がするので、今度探して読んでみよう、と思う。私を離さないでも原作買うだけは買ってたかもしれない。何も記憶にない。
