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日記だよ

古川日出男「南無ロックンロール二十一部経」

読んだ。すごかった。まだ咀嚼できていない。

とりあえず読みたい人向けにアフィリエイト貼っておきます。

分厚い本なんだが紙は厚めだし一段組なので、ページ数が異常にあるわけではない。気後れは必要ない。タイトル通り21篇の断片から構成されている。一つ一つは大きな作品ではないので、今日は1篇だけ読もう、ということができる。気軽に読書が始められます。

以下は Macbook Pro との比較の様子です。

うん。まあ、普通でしょう。腕が疲れて読むのは大変だったけど。

冒頭はなんか昏睡状態の人たちがベッドに並ぶ部屋で、やはり意識のない1人の女性に話しかける人の話と、記憶がないなかで不思議な東京に生まれ変わった人の話と、音楽から謎の電波を受け取って『誤解の愛』を心に宿した殺人者が南極に行く話で始まる。そういう構図で、3つのパートが7回にわたって繰り返される。最初は全く繋がりがわからず、なんとなく関わりはありそう、みんなロックンロールにこだわってるしな、くらいで読みづらい。鶏? とか、虎? とか混乱する。7という数字には劇中の必然があるし、ロックは愛で教えだとしたら「最終戦争後の東京で輪廻転生(ロックンロール)を繰り返しながら追い詰められていく」「最後の数人になっても、最後の1人になっても東京を取り返すために戦う」のはどういう風景かも理解できる。

最後のシーンで理解と混乱が押し寄せてくる。お前、どうして、この瞬間の前にこれが書けたのよ。のだけど、そうか、これとあれは違うのか。時系列を確認して、ずれに気がつく。俺が最終戦争だと思っていたものと、ここではじまろうとしているものと、すでに描写されていたそれは、それぞれ別のものだったのかも。「かもしれない」とした時点でだいたい確信があって、そういう話かーーーーってなってしまう。

初手で読む際、いくつかの補助線を引いてしまえばまったく違う物語として読んでしまうだろう。しかしそれだと勿体無い気もする。かなりの怪作だが、終わってみれば物語のかたちも仕掛けもはっきりしている。

(ここから追記)

二十と二十一の間、という書評を読んでなるほどとなった。二十一にも意味がある。

古川日出男は福島出身であるという補助線も知らなかった。