読んだ。三体とうっすら繋がってるけど別の作品ですよ、天才科学者の丁儀(ディン・イー)さんが登場して超兵器であるボールライトニング兵器を開発する話ですよ、というところで三体0とうたわれているが、まあ別のシリーズである。そのあたりは後書きに詳しい。
読み味もぜんぜん違っていて、三体はハリーポッターみたいに常に大きな背後の謎が目の前の物語とは別に意識される構造だけど、球状閃電は「ぼく」の視点から不思議な出来事を追い続ける科学謎解き型の読み物になってる。子供の頃に不思議な現象(ハードだけど)に出会った少年がそれに取り憑かれて、科学者となり科学者の女性と知り合ったり先輩と研究所に就職したりそれで軍の実験に関わったりしながら、その球電の謎を追い求め続ける。そういうシンプルな説明が可能な作品である。
球電とは、という最初からの疑問につけられる説明はインパクトあるし、それに大興奮する科学者丁儀と、主人公の目線の違いも面白い。しかし本の偶数ページに影響を与えるアレの説明が「選択性」で押し切ってしまうのは勢いがあるなと思った。面白く読んだけど振り返るとちょっと無理があるんじゃないか、という感じで、そういう勢い大好きです。
いったん基本的な謎が解けたところで、読者の自分も主人公の「ぼく」と一緒に、
「あれ目的が途中で変わってたな、自由に生み出して操作することが目的ではなく謎を解きたかったはずなのに...」
と気付かされる作りになっていてうーむとなった。
中国っぽさがあまり出てこないのも三体とはちょっと違った読み味があるのかも。三体はいきなり冒頭からしてあれだったからなー。