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日記だよ

映画「スカーフェイス」

「そんなの関係ねえ!」

見た。面白かった。口の悪いチンピラがのし上がってめちゃくちゃになる話。 170分くらいの大型作品だけど駆け足に感じるほどの勢いがあり、最後まで楽しく見られる。

全体がきちんと構成されているのが見ていてわかるくらいで、成り上がり編が序破急っぽい刻みになっていて、そのあとの栄光と破滅に怒涛の勢いで進んでいく感じ。素直な起承転結ぽさもあるんだが、成り上る前と後で大きな二分割もある気がする。

本作は女性が徹頭徹尾おまけというか主体性ゼロの扱いになっていて、妹ジーナの心理は全然わかんないし(最初の感動の再会のシーンはなんだったんだ)、ボスの女エルヴィラも、最初はひたすらつまらなさそうなのがちょっとずつ打ち解けていって、みたいな演出はあるにせよほぼ内面表現はゼロで、最後まで「なんでこんな男についていくの...?」としか思えない。エルヴィラのつまらなさそうな顔をした女って波動は圧倒的だし、喋ることは妙に常識的だし、ひたすら麻薬やってるしなんだこれ。

破滅の引き金となった「女子供は殺せねえ」って場面も、あれはコカインでだいぶ判断能力が落ちていたってことなのか、ところどころで描かれていたトニーの信念めいたものが爆発したのかはどっちなんだろうな。弱者に保護的に振る舞う・嘘はつかない・敵には非情・極端に衝動的・神経質、というステレオタイプはあるし、ところどころでそのように振る舞っているにせよ、トニーは決して信念の人として好意的に描かれているわけではないし、そのように英雄的なポジションでもない。

後世のお笑い芸人のせいで、トニーが「そんなの関係ねえ!」と叫ぶシーンで関係ない後続のシャウトが脳内で聞こえてきてこれはひどい雑音だなと思った。(作品とは関係ない)