0xf

日記だよ

映画「北北西に進路を取れ」

見た。ヒッチコックのスリラー映画。

本編と、ヒッチコックの映画がいかに映画史にとってのエポックメイキングな出来事だったかをかたる特典映像があって、特典映像を眺めるといわゆる「後世に影響を与えまくったオリジン特有の『なんか普通』感」の正体がわかるという作りである。

映画と関係ないんだけど、blu-rayディスクをXBoxで再生した際、メニューがうまく動かないのはまあ許せるとして、シーンごとに字幕と吹き替えが切り替わる謎の事象が発生してなかなか映画に集中できなかった。こういうのは困ります。途中から、今じぶんは字幕を読んでるのか吹き替えのセリフを聞いているのか意識しなくなっていて、人間の脳ってすげーなと思ったりなど。

 

さて映画だ。

古いし模倣されまくった作品とはいえ、オリジナルならではとでもいうのか、真似ではなさそうな淡々とした迫力がある。コメディにほとんど踏み出してしまう前半の巻き込まれパートは、しかし「こんな風に落ち込んでしまったらどうしようもないな」と笑いながらに絶望感あるし、時代的に冷戦の頃はこれが笑えなかったんだろうなと感じるどこも一方にある。馬鹿馬鹿しいけど恐ろしいスパイ戦の世界がすぐそこにあったというファンタジーがある。ところが途中から巻き込まれてしまった我らが主人公ロジャー・ソーンヒル先生は圧倒的なバイタリティとイケメンぶりを発揮してゴロゴロ転がって突破していくので、これどこへ向かってるんだと(北北西なわけだが)心配になってしまう。あ、そういうこと思いついちゃうんだ!という主人公の機転というか、見ている人間の半歩先を走っている感があるのだ。で、最後ヒロインの手を掴みラストシーンに繋がるとこで「え、それで終わりなの?」とびっくり仰天(ほんとに)してしまう。色々問題あったけどそれでいいの?ロジャー結局めっちゃ犯罪やらかしてるし大丈夫?広告会社の重役だからいいの?

そーいや、こないだ見たインディ・ジョーンズも旅の途中で通りすがりの街をめちゃくちゃにしたりしてて、おいおいそれはいいのかと心配になったりしたんだった。それを思い出した。悪いやつが発端だから「汝ら罪なし」なのか?そうなのか?

 

コトバンクの解説がなんか想いがこもっていてよかった。

https://kotobank.jp/word/北北西に進路を取れ-737532

 

>  1人の人間がある日突然自分のあずかり知らぬ不可解な事件に巻きこまれてしまうというヒッチコックのサスペンス映画のパターンが,アクション映画の基本的な型の一つである〈追っかけ〉の極致に達した一編。とくに広大なトウモロコシ畑の真只中で小型飛行機に追いかけられるシーンは,それがあらゆる意味付けを欠いた〈完ぺきな無償性〉に昇華され,〈不条理(ばかばかしさ)にもとづく荒唐無稽な遊び(ファンタジー)〉(フランソワ・トリュフォー評)こそ映画的アクションの粋であることを示し,その後スパイ活劇《007/危機一発(ロシアより愛をこめて)》(1963)ほか数々の模倣作品を生んだ。