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日記だよ

日比野コレコ「ビューティフルからビューティフルへ」

なんか都市部で破綻した学校生活を送っている高校生三人が、クラスの中心人物「ダイ」の周辺で絶望したり会話したり過去を振り返ったりする話。不思議な婆さんが出てきて物語に変化を加えるけど、最後まで不思議なままで終わる。三人は生育にそれぞれ苦難というか独特のハードルを抱えている。大きな事件が起こったり謎が解けたりするわけではないが、ひとまずそれぞれがそれぞれの収まりどころを見つける過程が描かれる...と言えるのかな。特徴的な一人称の話し言葉で書かれていて、最初これは乱れた文章なのかなと思ったけど、なるほど登場人物のいかにも主観の言語感なのだ。

入学した時の生徒数が(退学などで)どんどん減っていく、というのはアメリカの荒廃した地域の映画とかでよく見かけるけど日本ではどこまでリアリティがあるものなのか、という気はする。自分は学校で殴り合いをしたりいじめをしたり恋愛をしたり、というものが全然身近でなかったので、そういうのはあまり現実感を持ってみていないところがある。「商店街」とかもそう。ただ、読み終わる頃には、自分の幼少期にそうした風景を見ていたような気になった。不思議。

作中に登場するモッツァレラチーズ・ゲームって創作なのかと思ったら違っていた。実際にやっているのを一度見てみたい気はする。自分が参加すると想像すると、1回目で笑い転げてすぐ負けそうである。