冬、雷が元気になりまくってるのは大雪の予兆らしい。
春は春で春雷という季節の言い回しがある。雪が溶けて、風と雨と雷が降ってくる。風が強いので天気が移るのも早い。ついさっき、昼だというのに本も読めない暗さだったのが、さっと日の光が入るようになる。油断して外に出るとまた降ってくる。
冬は風の音はしても雪の気配はそんなにわからない。もちろん、叩きつける土砂みたいなものはあるんだけど。雪は音を吸うので、無音、というイメージがある。それに対して雨は世界中がパラパラといろんな素材の音を立てている。
雷は空気が裂ける音、遠くで轟く音、それに地響きといった重なりがあるけど、テクスチャとして風、雨、霰といった硬い音がある。
つい最近まで冬だった。雷といえばしんと静まり返った夜にドカンと鳴り響く感じだったのが、今は真昼に、雨の中で鳴る。
今日は朝から雨足が激しい。激しい音は聞こえず遠くから地面を伝った振動が低く聞こえてくる、そういう存在感の轟が夜明けごろには続いていた。昼頃はもっとすぐ近くで雷鳴が落ちていた。リモートワークのテレビ会議で相手の声が聞こえなくなるくらいの勢いで雨粒が屋根を叩いている。雨粒が大きいのがわかる。風があるのもわかる。ざざっ、ざざっとリズムがある。
うるせえなあ、と思いながら音楽を聴いていた。ふとアンプの音量を絞ったら、外から音が聞こえない。代わりに日が差している。
もうすぐ春ですね。といった風情。