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日記だよ

映画「死刑台のエレベーター」

見た。

美しい映像と、憮然としたフランス人の演技と、情緒的にすぎるマイルス・デイビスの音楽は大変よかった。

けど、冷静になって考えてみれば物語としてはまとまりがない部類なんじゃないか...? エレベーターに閉じ込められるという出来事の意味合いがホラーやスリラーの小道具かなと思っていたらそうでもなくて、当初考えていた思惑がどんどん壊れていくタイムスリップ的な現象なのだ、とわかるのは中盤以降。奥さん、あんたジュリアンをそんなに愛していたのや...という結末なのだが、いやいや結婚した旦那を愛してやれよと思ってしまうし(おっさんの視点)、愛に過去がないために振り返ってわかるという記号的なものになっている。いや、記号的と感じてしまうのは自分の側の情緒の問題だろうか。愛されている人には愛されるだけの理由が必要、というのは悪い感覚だと思う。愛するのは愛する側の行為であってそこには第三者の審判は立ち入る余地がない。

とはいえ、「美しい映像と、憮然としたフランス人の演技と、情緒的にすぎるマイルス・デイビスの音楽」が加点ポイントとして大きいためにこれはいい作品だと思う。特に音楽、以前に「死刑台のメロディ」と間違えてレコード買ってしまったこととは関係なしに素晴らしい劇伴だなと。