0xf

日記だよ

映画「Gのレコンギスタ劇場版」I〜V

五部作。面白かった。TV版より目力がある。(総集編であることもあって)脈絡が分かりづらい富野セリフと伝統のカットイン演出が楽しい。

富野セリフには関西地方の方言のような伝染性があり、水星の魔女を見ても喋り方に影響は受けないけど、Gレコ見ると「なんだってぇー」とか「だから、これを手に入れるって言ってるんでしょ!?」「迂闊だった」「このスマートの回転半径ならいける」などと口にしそうになる。

キャラクターの書き方とかアップの描線の太さが32インチくらいのTVでちょうどいい感じのサイズ感があり(個人の感想)、ああ、昔ながらの絵作りだって思うけど引きの構図とかやっぱり高解像度なシーンもあって現代〜という気持ちである。大型の宇宙構造物はCG感強いけど人が乗って動くサイズのやつはそんなでもなかった。

相変わらず大人と子供、地球と宇宙、平和と戦争である。現代らしく戦争の原因までがたどられ、過去からなされる主張に対する現在からの問いかけがあり、最後は和平が実現される。ハッピーエンドなのはいいですね。そういえば最後まで「ガンダムという呼ばれ方はしない。「G系」とかろうじてスペシャルな機体群であることは示されてるけども。

本作の主役ベルリは徹底的に「優秀だけど基本的には血筋とスーパー高性能な搭乗機によって戦い抜いた若者」で、そういえばキングゲイナーとかターンエーもそういうとこあった。やっぱり大人と大人の確執から解放された地球人類の革新みたいなのを監督が全体の設定として受け入れられなくなっているのかね。(遠未来において冷えた地球を別の太陽系へ移動させるなどのスピンオフ作品も見たい気はするが、脳内で監督は庵野秀明になっ、あれ、それは巨大バスターロボではない?)

自分としてはどこでキュピーンと効果音が鳴ってニュータイプ覚醒するんだろうかと楽しみにしながら見てしまったり、殺してしまった相手パイロットのビーム越しの手応えをきっかけに戦場と共鳴するようなお約束があると安心する、みたいなところはあるんだけど、これは典型的な「新しい作品に触れているのに知ってる道具立てが出てくるのを楽しみにするオタク」みたいな感じでよくないなと反省する。

それにしてもGレコ世界、トップマネジメントがあまり機能しておらず現場で勢いでものが決まっていくのが小気味いいという気もするし、若者たちの熱量に左右されすぎではあるまいか、と心配する内心もある。