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日記だよ

映画「おかしなドラマ」

見た。1937年のフランスの映画である。

パリ万国博覧会のあった年、ということで、大阪の万博話が炎上している今こそ見るべき映画!というのは無理があるか。

 

割と良かったけどやや退屈さはある。

退屈さの主な理由は、風刺や、社会背景を強くもじった演出であることがなんとなくわかりつつ自分が当時の背景とかを知らないので、壮大な内輪ネタを見ている気分になるからかも。

 

スコットランドの警察が横柄で有名だったみたいなのは知ってるし、当時の犯罪小説が通俗すぎてよろしくないと言われていたやつはモーリス・ルブランを当てこんでるのかな、という想像はあるし(変装して相手がすっかり騙される感じなどはルパンの変装術に向こうを張ってるのかな)、聖職者や新聞に書かれたことに大衆がガッと煽動される感じは皮肉ってるんだろうと、まあ、見てればわかりはするのだけど。 

コメディとしては,全体的ににある国民性や文化風俗に対するノリはなかなかピンとこないところがあって。使用人と主人の距離感とか(どの部屋のベルが鳴ったかわかるようになってる使用人室の作りは面白かった)、牛乳屋とか、あと孤児で救世軍で〜とか、中国人街の立ち位置とかね。コメディを見るには教養が必要。ギギギ

ロンドンが舞台の割に登場人物がフランス語で喋っていて(喋りだけじゃなくなんか姿勢もフランスっぽさがある気がする)変な感じがある。冒頭の、殺人鬼が自分で名乗りを上げて自転車で帰っていく場面がうまくて、「あっ,こいつ小説家だな!」と思わされるし、聖職者のおっさんと学者のおっさんの妙な関係性とかも示されていて導入として見事だと思う。植物学者の奥さんに聖職者のおっさんが懸想してる?のかな、そこの動機だけ見ていて読み取りづらかったのはある。どいつもこいつもちゃんもしておらず、動機や生き方がちょっと不条理な感じで、そこはそういうものとして見ないと置いて行かれてしまうだろう。考えてはいけない。そういうものなんだ。