土曜日
町の方まで外出していた。町というのは秋田市です。
千秋公園の中の施設でやってた古道具市を覗きにいった。そんなに大規模なものではなかったけど、思ったより人が出ていて妙なアンティークがいろいろあって楽しかった。自分はレコードを何枚か買った。妻はカエルの置物を買っていた。
隣接した図書館はけっこうよかった。やはり大掛かりなものではないし、ピカピカの最新設備って感じでもないのだけど、雰囲気が好きです。石川達三記念室がどーんと設置されていて、そうか、そういえば秋田の文学者といえば石川達三がいたなと思い出すなどした。第一回芥川賞作家です。ただ受賞作読んでないんだよな。高校の頃教師に勧められて青春の蹉跌のだけ読んだ覚えがある。
その後、「エリアなかいち」ってところに車を停めた。60分100円。秋田駅周辺駐車場そこそこいっぱいあるにはあるけど、一箇所に停めてぐるっと回るにはちょっと広くて不便なような印象はあるよなあ。
「パリの蚤の市 in Akita」ってお店と、「小松クラフトスペース」ってところに立ち寄る。アフリカの泥染の布とか、得体の知れない子鹿の足のペーパーナイフとかを買ってきた。
- パリの蚤の市 in Akita - Instagram
- 謎の小物がいっぱいあった。店主の机には懐かしのAppleの透明なスピーカーセットが置いてあった。
- 入り口の廊下に分厚い板がいっぱいあって妻がテンションあがっていた。
- 小松クラフトスペースホームページ
駐車場に隣接した「なかいちの商業施設」ってとこでは野菜の産直販売とか地元の新聞カフェスタンドがあったり、仏壇と中古レコードショップが並んでいたりした。この並びには何か意図を感じる。通路の片隅では、謎の毛皮商人が200万円のジャンパーを「お兄さんきっと似合うよ!」と勧めてきたりして気が抜けない。
お昼には親子丼を食べた。
究極の親子丼と極上の親子丼があった。極上の親子丼は炭火焼き鳥が普通の親子丼の上にさらにトッピングされて、さらに比内地鶏の卵黄が乗ってるみたいな感じ。美味しかったがちょっと割高かな、という気もする。観光地価格ってほどでもないが。
なかいちではジャム工房のらのママレードが売っていたので大喜びで妻が買っていた。自分は知らなかったんだけど、ちょっと有名らしい。
秋田県羽後町で見て楽しく食べて美味しいをコンセプトに色々製造販売している農家です
日曜日
かねてより気になっていたパティスリー・パルテールで昼食を取りにいく。けっこう混んでるかなと思ったけど2階席が空いていてよかった。
ミートドリアを食べたんだけど、ミートというか夏野菜ドリアって感じだった。夏野菜かなと思ったのは、つまり茄子とトマトとブロッコリーがゴロゴロと入っていたからです。
そのあと隣接した小玉醸造に立ち寄った。潟上市の酒蔵ということで、お世話になっております。
試食ですよと出してもらった味噌汁がすごくよかった。味噌を伸ばしただけで出汁や具は特に入れてない、ということだったが、完成した味噌汁の趣があった。冷凍庫に余裕があれば買って帰ったものを。残念である。甘酒も美味しかったな。代わりに白だしと玄だしを購入。あと日本酒を少々、醤油を少々。塩を少々。
野菜を買いに大潟村の道の駅まで足を伸ばしたが、あんまり野菜がいいのがなかった。やっぱり朝来ないとダメかーと納得し、しかたがないので八郎潟の干拓博物館を覗いてきた。日本第二の湖だった八郎潟をガッと干拓して巨大な農地というか村を生み出す大事業が俺の生まれるずっと前になされていた壮大さにビビる。青函トンネルといい、昔の日本はめちゃくちゃすげえ土木工事やってたんだなあ。国土改造などの激しい題目もあながち外れてないんだなあ、そりゃパトレイバーの未来予想でも東京湾埋立工事を想像するよなあ、などと感慨が色々ありました。そもそも、自分は秋田生まれなので知識としては知っていたけど、妻はそもそも八郎潟がもそもそ湖でそこを農地にした、という事実自体を知らなかったらしい。
冷静に考えるとすごいよね。まず日本地図でぱっと見てわかるサイズの陸地が新しく生まれるのがすごい。この広さの、海抜0mより低い地域を一箇所の水門が守っているのもまたすごい。
そのまま八郎潟をぐるっと回って男鹿半島の北側から男鹿のいとくへ立ち寄って生鮮食料品を買い込み、帰宅した。
アテをいろいろ作り、小玉醸造で調達した日本酒を飲むことにする。
銀鮭の漬けにカサゴの刺身、ニシンの菜の花漬け、松前漬け、焼き野菜、練り物、真たらこのエリンギとの煮物、豚とワラビとこんにゃくの炒め物、ウドの白だし和えとウドと梅の味噌和え、寄せ豆腐とばっけ塩、めかぶ。(自炊はお金がかかる) pic.twitter.com/gDGZlzNoM0
— まつさか :checked: (@ma2saka) March 17, 2024
最近Twitterで自炊がどうのこうのって話題がちょっと盛り上がっていたけど、自炊でなければどうしてもうまくいかないことがあって、たとえば出先で買った酒のアテを試行錯誤する、みたいなことは普段から自炊してないとなかなか難しい。なぜかというと調味料とか器具が不足するからです。
この夜は春のウドが最高の仕事をしていて、小玉醸造の白だしと和えた穂先がめちゃくちゃ美味かった。これと春の番外酒を合わせて大満足である。
すごいな、と思ったのは、献立が見事に酒とマッチしていたことで、
今日の飯は太平山の蔵元の試飲をした俺の「これは野菜で、しかも土っぽくないさっぱりしたやつが合うと思う」「大根は違うかも」「海のものとも会うけどマグロみたいな赤身の刺身とは違いそう」「酒自体の味は硬くて甘いガラスを飲んでるような感じ」という情報をもとに妻が構成しています。
— まつさか :checked: (@ma2saka) March 17, 2024
運転手であるところの妻が、試飲した俺の感想を聞いて献立を構成したんだけど、完璧すぎるので実はこっそり飲んでたんじゃないかと疑うくらいであった。いちおう、何種類かお酒を食卓には出したんだけど、結局この日買ってきた太平山がベストマッチで他の酒は出番がなかった。
日本酒は料理との組み合わせがあるじゃないですか。どちらが主でどちらが従か、という入れ替わりもあるし、食卓で温度変化がある(食事は冷めていくし酒は室温に近づいていく)ので、いろいろ料理を並べると一種類だと不足することが多いんだけど、この日に限ってはそういうことはなくて後世に語り継げる代物だと思う。いやいや。よかった。
しかし考えてみれば、この食卓は小玉醸造の醤油、白だし、玄だしで主な味付けを行っている。あと味道楽の里ね。そしてワラビとウドと春の山菜なわけです。そりゃ小玉醸造の春の酒に合わせたら合うに決まっているのではないか、という疑惑がある。ということは、他の酒蔵で作っている加工品などで食卓を設計すれば、また違う世界があるのでは...? 日本の食卓は味噌、醤油、出汁、味醂、砂糖、塩でだいたい決まっているわけだけど、その半分くらいは醸造所から出てくるわけであるから、揃えたら馴染むのは真理なのではないか...?